☆ 特 別 企 画 展
特別企画展「日本が見えない 竹内浩三没後60年」
期間:7月31日(日)〜8月21日(日)(月曜休館)
時間:9時〜16時30分
会場:本居宣長記念館講座室 2F講座室(8月3日2Fフロアー)
昭和20年ルソン島バギオで戦死した竹内浩三は、その僅かな人生のうちに優れた詩と周辺の人々に強い印象を残していきました。今年は竹内の没後60年という一つの節目です。これを機に、現在、本居宣長記念館でお預かりしている竹内の詩稿や日記、回覧雑誌、遺品類を公開いたします。
今回の展示の底流となるのは、「戦で死ぬこと」です。
本居家の歴史は、奥州九戸城の合戦(1591)で本居武秀が討ち死にするところから始まりました。町人として平和な世を渡る中で、宣長が生まれ、その学を大成していきます。戦さは遠い過去のものとなり、僅かにその著作『排蘆小舟』の中で人の本性として戦場のたとえが引かれるだけとなりました。しかし、極限において顕れる人の心、それが物語や歌の背景になるのだという主張は「もののあわれ」論として広く知られるようになったのです。そして昭和の大戦。伊勢市に生まれた竹内浩三は、過酷な軍隊生活の中で優れた詩作を残し、昭和20年4月9日、フィリピンで24歳の人生を閉じます。「もののあわれ」が深くなるとき優れた詩が生まれると言う宣長の主張は、はからずも竹内により証明されたのです。対照的なのは、宣長が古典の中に「日本」像を求め一つの結論を得たのに対し、竹内は「日本が見えない」と言いながら戦地に赴いたことです。
戦争と人の心を見つめる今回の展示を、ぜひご覧下さい。
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