◇ 展示
趣旨

『古事記伝』の著者、本居宣長の姿をイメージしてみましょう。胡坐をかき鈴屋衣を着た髷を結った宣長の肖像がまず思い浮かぶはずです。イメージの源泉は、61歳の時に彼自身が描いた『本居宣長六十一歳自画自賛像』です。有名な「敷島の歌」は、この肖像画の画讃としての和歌ですし、宣長は鈴屋衣という独特の着物姿で描かれています。61歳像は、欲しがる弟子が多かったので模写などが盛んに作られたようで、結果、固定化された肖像としての宣長イメージは彼の生前中から広く世に浸透していくことになります。
44歳の時にも宣長は自画像を、花瓶に生けた山桜や机・短冊・和本などのお気に入りの品々といっしょに描いています。この絵では、彼の肖像は正座した長髪姿として描かれるなど、61歳像とは構図上大きく異なります。そういえば、『大日本天下四海画図』などの青年期の宣長が描いた地図も、非常に独創性が高いものです。
つまり、本居宣長は単に『古事記』などの日本の古典をこだわって研究しただけではなく、自画像や地図を描く際にも相当独自のポリシーを持った人物であったといえるのではないでしょうか。いったい本居宣長にとって、〈画像を描く・描かれる〉という行為にはどのような意味が込められているのでしょうか。
本企画展では、宣長自身や関連する画家が描いた肖像画・地図などの画像資料を展示してこの問題を考えてみたいと思います。ご期待下さい。
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展示品リスト

全80種(国重文35種・初出品7種)137点
◇壁面展示 ◎国重要文化財 ☆初出品 ○数字はコーナータイトル
☆ 展示品説明会

7月17日(土)・8月21日(土) ※午前11時より
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