宣長十講

 令和3年度 宣長十講 

宣長の本箱

 幼い頃から、本を読むことが何よりも面白かった。先生に師事し、きちんと勉強
 するわけでもなく、なにか目標を立てるでもなく、手に入る本はなんでも読んだ


 宣長は、自らのもの学びの原点を「読書」だといいます。
 『源氏物語』を読めば、これ以上の物語はないと感激。江戸前期の契沖が記した注釈書には、これまでにはない実証的な学問の世界が拡がっており、独学する宣長の指針となりました。賀茂真淵先生と出会い、「『古事記』を読みたいなら、まずは『万葉集』だね」とアドバイスを受ければ、真淵先生とみっちり『万葉集』の勉強を続けながら、『古事記』を読んでいく。
 宣長の書き込みだらけの『万葉集』は、膨大なデータバンクのようです。『古事記伝』を書いたような人だから、やっぱり宣長は『古事記』派でしょ?と思いきや、『日本書紀』だって誰より丹念に読んでいます。
 宣長の研究対象は、自分の時代まで伝わってきた、古典文学の数々。本との出会いの数だけ受けた恩恵を、今度は自分の研究成果を出版する、という形で後世に伝えていきます。
「本棚を見ると、その人がわかる」といいますが、では、宣長さんはどうでしょう?
 先人たちのものから自著まで、たくさん詰まった鈴屋の本箱から、宣長の学問や考え方、性質をのぞき見る全7 講です。

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【お知らせ】
2月19日(土)の宣長十講は、 先生ご本人のご事情により、講座配信を中止させていただくこととなりました。

新型コロナウィルス感染拡大防止の観点から、通常年間10 回開催の「宣長十講」を、本年度は全7 回に縮小させて頂いております

● 日 時 2021 年5 月、6 月、7 月、12 月、2022 年1 月、2 月、3 月
第三土曜日 午後2 時から(1 時間)
● 受 講 料 各回 資料費100 円  ※事前予約制
● 場 所 本居宣長記念館 2 階講座室(松阪市殿町1536-7)
● お 申 込 み
お申込み方法 ←クリック、またはタップしてください。

  開 催 日   ※リモートでの開催となる場合がございます。
令和3年度 宣長十講  宣長の本箱 
 令和3(2021)年
① 5 月15 日 (土) 歌枕「よひの森」の広がり  【リモート講座】
    中京大学 中川 豊
「四五百の森」図(本居宣長記念館蔵)に描かれた四五百の森(「宵の森」などとも)は中世以来、松坂の歌枕として定着して月、ホトトギスなどとともに詠まれてきた。考証随筆・地誌・歌集などから四五百の森を多角的にとらえて、歌枕としての広がりをたどる。また絵師である狩野良信や、宣長・大平の「四五百の森」についての考証も紹介する。
② 6 月19 日 (土) 宣長の源氏学と中世の源氏学 【リモート講座】
    中京大学教養教育研究院 小髙道子
 歌道と『源氏物語』について宣長は「此物語の外に歌道なく、歌道の外に此物語なし」(『紫文要領』)と記した。一方、藤原俊成が『六百番歌合』の判詞で「源氏見ざる歌よみは遺恨のことなり」と記してから、中世の歌人・歌学者は詠歌のために『源氏物語』を学んでいた。両者ともに歌道と『源氏物語』について述べているが、その内容は大きく異なっている。本講では花宴巻を中心にして両者を比較してみたい。
③ 7 月17 日 (土) 本居宣長手沢本万葉集と加納諸平の万葉集研究  
    奈良県立万葉文化館 阪口由佳
 宣長の手沢本万葉集には先行諸説や宣長自身の説が多数書き入れられており、すでに複雑な様相を呈している。さらにそれを本居大平の門人・加納諸平が写したと考えられる一本が奈良県立万葉文化館に所蔵されている。これは忠実な写しではなく、宣長手沢本万葉集に拠りつつも取捨選択し、自説を補ったものである。両者を比較し、関係性に迫りたい。
④ 12 月18 日 (土) 宣長の本箱
  本居宣長記念館名誉館長 吉田悦之
 今回は本居宣長の蔵書管理についての話です。例えば個室など望むべくもない京都修学期には、買った本はどうしていたのか。『購求謄写書籍目録』などを見ると、研究が本格化する30代に入ると逆に購入書は激減します。本を買わなくても大丈夫なのでしょうか。またラベルを貼った12の本箱のことや、蔵書印の謎、消えた仏教書や漢籍の行方など、尽きることのない本と宣長の話、そのごく一端を紹介します。
 令和4(2022)年
⑤ 1 月15 日 (土) 『古事記伝』のなかの『日本書紀』  
    國學院大學 渡邉 卓
 宣長が『古事記伝』を著したことにより、第一の古典は『日本書紀』から『古事記』へ転換した。『古事記伝』は「古記典等総論」「書紀の論ひ」という総論からはじまるが、そこでは『古事記』の重要性を説き、『日本書紀』を尊重することを是正する。だが、これは『古事記伝』が『日本書紀』研究史の先にあることを意味する。宣長が如何に『日本書紀』研究史と向き合ったのか、『古事記』の注釈活動から見てみたい。
⑥ 2 月19 日 (土) 宣長の教科書―源氏物語と土左日記―
    天理図書館 宮川真弥
   教科書との付き合い方は人それぞれのようです。マーカーで線を引いたり、余白にびっしり書き込んだり、はたまたヒゲを書き加えたり……。
 幸運にも、宣長が実際に使っていた教科書が本居宣長記念館に残されています。宣長はどのように教科書と向き合い、そして越えていったのか。今回は『湖月鈔』(源氏物語)と『土左日記抄』を本箱から取り出し、じっくり解き明かしていきましょう。
※2月19日(土)の宣長十講は、 先生ご本人のご事情により、講座配信を中止させていただくこととなりました。
⑦ 3 月19 日 (土) 宣長時代の出版メディア
  信州大学 速水香織
 宣長は、膨大な書籍を渉猟し、学問に打ち込み、自らも多くの研究書をものしましたが、その蔵書には木版本が少なくなく、またその研究成果は、多くの版元たちの手によって出版され、広く読まれることとなりました。宣長の情報収集、そして情報発信を支えた江戸時代の出版文化の広がりの様子を、1700年代後半を中心に紹介してみたいと思います。

● 共催 鈴屋学会 本居宣長記念館 後援 松阪市教育委員会

 


宣長十講のあゆみ


第1回  平成 2年度
第2回  平成 3年度
第3回  平成 4年度
第4回  平成 5年度
第5回  平成 6年度
第11回 平成12年度
第12回 平成13年度
第13回 平成14年度
第14回 平成15年度
第15回 平成16年度
第21回 平成22年度
第22回 平成23年度
第23回 平成24年度
第24回 平成25年度
第25回 平成26年度
第31回 2020年度
第6回  平成 7年度
第7回  平成 8年度
第8回  平成 9年度
第9回  平成 10年度
第10回  平成 11年度
第16回 平成17年度
第17回 平成18年度
第18回 平成19年度
第19回 平成20年度
第20回 平成21年度
第26回 平成27年度
第27回 平成28年度
第28回 平成29年度
第29回 平成30年度
第30回 2019年度
 

会場:第1回(平成2年度)~第9回(平成10年度)本居宣長記念館講座室。
   聴講者が外にまで溢れる盛況により、
   第10回(平成11年度)から 松阪市中央公民館。
   第29回(平成30年度)には、公民館移転にともない、会場を本居会館(本居宣長ノ宮)へ変更。
   第30回(令和元年度)から 本居宣長記念館講座室。

  ◆ 講座風景 ◆


平成4年度「没後の門人 平田篤胤」 
谷省吾 先生


平成13年度「宣長の門人指導」 
白石克己 先生

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