例言・凡例

2000.12.23 update

例    言

 この年譜は、江戸時代中期の国学者本居宣長(1730〜1801)の生涯の事歴、また、その目に映じた時 代、世相の記事を網羅し、時系列で並べたものである。
 この年譜は、現存する宣長資料の中で年月日の分かる(一部推定も含む)記事は全て集 めることを目標とするが、もとより遺漏は多い。利用者各位のご指導、またご批正を も仰ぎながら、順次、訂正と補正を加えていきたい。
 年譜の基礎資料は『日記』等諸記録である。そこに出てくるのは宣長の日常生活であ り、対外的な項目がその中心を占める。私たちが最も知りたい、学者としての宣長の 関心が何に向けられていたのか、また知の営みとも言うべき読書や抜き書きについて は、その年月日の記されることはごく稀であり、年譜に記載することは困難である。 例えば『源氏物語』を最初に読んだのはいつか。『百人一首改観抄』『冠辞考』を手 にした具体的な月日。また『排蘆小舟』『古事記伝』の起稿時期など、肝心なことは ほとんど分からないのが現状である。「記事の本文」にも書いたが、年月日不詳のも のも推定を交えなるべく記するように努めたが、まだまだ漏れたことも少なくない。 これら漏れた項目のついてもまた順次、訂正と補正を加えていきたい。



凡    例

記事の本文

  1. 記事は年月日順とした。ただし、日の明らかでないものは、推定により、何月上 旬、中旬、下旬とし、月も不確かなものは春、夏、秋、冬に配列し、さらにそれすら 特定できないものは該当する年の末尾に入れた。今後の調査研究の進展により、何れ は全ての項目が完全に時系列で並べられることを期待している。今回の年譜ではユリウス日を表示することとしたため、上旬は1日、中旬は11日、下旬は21日に、また春は1月1日、夏は4月1日、秋は7月1日、冬は10月1日に仮に配置した。
    表示されるデータの日付は、当該項目の日を代表するユリウス日、そのユリウス日 の和暦、そのユリウス日のグレゴリオ暦という順で記述されている。また、各データ にはIDコードを割り当て、主となるデータについては、親コードと000の子コード、 000の孫コード、その解説には、子コードと000の孫コード、解説の2行目からは、子コード及び孫コードを記載した。親コードの最初のYは、この年譜の原本の作者である吉田の頭文字を表す。
  2. ○は宣長に関する記事、□は一族の記事、◆は関連記事とする。但し同一日に各 印に該当する記事が生じているときは○を優先した。
  3. 同日記録は原則として一日にまとめたが、それぞれの日における順序は任意であ る。
  4. 本文の記載は簡略を旨とした。その余は補注に記載した。
  5. 名前は生涯に何度も変わるが原則として一般的な名前で統一した。
    女性名は万葉仮名で書かれることが多いが、その場合は母と妻勝、飛騨、美濃、能登、壱岐以外は原則として平仮名で表記し、子は省いた。俊など漢字音訓による通 常表記の場合はそのままとした。勝は母の場合は「母勝」と書いた。
  6. 記載の用語の統一をしたものがある。例えば原本に「不快」などとある場合は 「病気」と表記した。補注を見ていただきたい。
  7. 死去の記事は天皇家以外はすべて「没、享年0歳」とした。
  8. 記載の町名は特に断らない限り松坂(現在・三重県松阪市)である。

、補注について

  1. 本文には補注をつけた。原則として、項目で重なる説明の場合は関わりが深いところに 入れ、関係の序列が付けにくい場合は一番最初に書く。何れの場合も「○年○月○日 条参照」の表示を入れた。但し、年譜という性格上通読されることは稀なので、重複 記載した場合もある。
  2. 参考文献も「参照」とした。
  3. 文中では敬称を略した。先学に対して礼を失することではあるが、ご海容を乞う。

、補注の中の引用文について

  1. 『書名』「章段名」「引用文」の順で記した。但し、原文確認の便宜を考え巻数 を入れたものもある。(例)『玉勝間』巻3「おのが物まなびの有りしやう」「(引用 文)」
    引用文の末尾(本居宣長全集:1−1)等という数字は『本居宣長全集』(筑摩書房)の巻 数とページである。
  2. 『本居宣長稿本全集』(博文館)等全集の場合は書名の後に同じ形で表記した。( 例)(『本居宣長稿本全集』:1−1)
  3. その他の本は(書名・P1)と表示した。
  4. 引用の中の【】は割り注、傍注である。
  5. 引用については、仮名遣いはそのままに、漢字は通用字体を採用した。入力時に 該当漢字が見あたらないときは◎とし、( )で注を入れた。いずれにしても正確では ない。必ず原本(出来れば自筆本等)で照合していただきたい。

ユリウス日について

 本居宣長年譜で採用したユリウス日とは、フランスの Josephus Justus Scaliger (AD1540-1609)が父親の名前にちなんで名付けた日付の通し番号で、紀元前4713年1月1日の正午から起算した通 日のことです。
 この日は、インジェクション(エジプトの課税上の周期)の15年、メトン周期の19年、週日の28年(ユリウス暦において曜日と月日が同一になる周期)という3つの周期の最小公倍数7980年周期の第1日が一致する日です。
 ユリウス日は通日である故に、とぎれることは無いため、連続した事象を時間軸で表すには非常に優れた指標と言えます。そのため、惑星や彗星の運動の記述など、天文学の世界では普通 に(実際には、これを使いやすくした準ユリウス日が)使われています。

 今回、本居宣長年譜を作るにあたり、このユリウス日を一つの指標としたのは、歴史的史実についても、容易に期間を計算できること、連続的な時間の中で物事の順序を記述できることなどの意味があるためです。
 ただし、ユリウス日は、正午からはじまるために世界時の午前0時で計算すると0.5日の端数が生じます。日本では9時間=0.375日の端数が生じることになりますが、本居宣長年譜ではこのような処理は行わず、単純に日にちが表現するユリウス日を表示しています。

ユリウス暦からユリウス日への変換は次のようにします。

 まず、年月日を y,m,d で表す。ただし、1月と2月の場合、これを前年の13月、14月と見なし、yから1を引き、mに12を足しておきます。

 y => y-1 m=> m+12
 このとき、ユリウス日 JDは、

◆ y<0 (紀元前)の場合、

 JD=[365.25*y]+[30.59*(m-2)]+d+1721086.5
  [ ] は、ガウス記号( []の中の値を超えない最大の整数値)

 ただし、紀元0年が無いことから、 BC.1 = AD.0 として計算に使います。
 同様に、 BC.n = AD.(1-n) として y=1-n 年を計算します

◆ y>=0 (紀元後)の場合(ユリウス歴)、

 JD=[365.25*y]+[30.59*(m-2)]+d+1721086.5
  [ ] は、ガウス記号( []の中の値を超えない最大の整数値)

 紀元後の場合は、1582年10月4日の翌日を1582年10月15日としたグレゴリオ暦(現在も使用中)が使われ始めましたので、注意が必要です。特に国によってグレゴリオ暦に切り替えた日が違うのでこれを考慮に入れておくことが重要です。

 グレゴリオ暦をユリウス日に変換するには、下記の計算を行います。

 JD=[365.25*y]+[y/400]-[y/100]+[30.59*(m-2)]+d+1721088.5

【参考文献等】  
  中野主一著 「マイコン宇宙講座」 廣済堂出版 昭和55年10月10日初版  
  斉田 博著 「天文の計算教室」  地人書館  昭和55年9月30日6版  
  長谷川一郎 「天文計算入門」   恒星社   平成8年1月25日新装版1刷
 


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