midashi_b 44歳像の種類

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 44歳像には下書きを含め4種ある。内2点が下書きで、その一つは戦火で焼失し写真だけが残る。後の2点は完成作であるが、完成度は、1より2の方が高い。では、2が決定作かというと、そう簡単に結論付けることはできない。

1,本居宣長四十四歳自画自賛像   1幅
紙本(唐紙半折)著色。裂表装。本紙122.0×46.5cm。
【伝来】和歌山本居家から記念館へ。
【指定】国指定重要文化財。
【賛】賛「めつらしきこまもろこしの花よりもあかぬいろ香は桜なりけり、こは宣長四十四のとしの春みつから此かたを物すとてかゝみに見えぬ心の影をもうつせるうたそ」

2,本居宣長四十四歳自画自賛像   1幅
紙本(著色。裂表装。本紙115.0×44.6cm。
【伝来】個人所蔵、記念館寄託。本居春庭より、宣長門人・堀口光重に譲られ、その後現在の所蔵者に移った。
【参考】賛は文章、字体ともに1と同じ。絵もほぼ同じだが、たとえば花瓶の彩色、花片に少異あり。
【箱書】(内箱)「本居中衛平宣長大人肖像自画自讚/松蔭堀口光重珍蔵/印『堀口六兵衛』(陽刻)印『光重』(陰刻)」。裏「いまの鈴乃屋春庭うしより此像を譲りたまひければいともくうれしくありがたくてひめおく箱にかきつく/わかれしは雲ゐはるかに入る月のひかりをこゝうつしとめける/源(花押)印(陽刻)」
【解説】1が10枚の紙を継ぎ足した上に描かれているのに対して、こちらは1枚の料紙に描かれている。その点では本幅のほうが完成度は高いとも言える。画は1と同じだが花瓶の彩色の仕方はやはり1より優れている。賛は1と同じ。ここに重大な疑問が生じる。

3,本居宣長四十四歳自画自賛像下絵   1幅
紙本著色。裂表装。本紙111.1×56.8cm。
【賛】「めつらしきこまもろこしの花よりもあかぬいろ香は桜なりけり 宣長 四十四(以下欠失)」
【箱書】「宣長翁自画像」、(裏)「鈴屋之印(陽刻)」〔紙貼〕
【伝来】本居春庭家伝来 本居宣長記念館蔵(弥生翁寄贈)。
【解説】左四分の一欠失。補彩、補筆あり。『備忘録抄』に「其ノ二ハ家蔵ノ一軸ニテ四十四歳ノ秋書ケルナリ、図柄讃ノ詞其ノ一ト異ナリ(引用者注其ノ一は1を指す)、此ノ家蔵ノ肖像ハ宣長意ニ満タザル所アリテ反故トナシ棄テタルモノナルベシ、婦女用鏡台ノ覆ヒニ作ラレテアリキ、亡父健亭コレヲ発見シ多少損ハレタル部分ヲ補筆セシメテ掛物ニ装幀セルモノナリ」とある。「秋」というのは、賛の「四十四」の下が「の」でさらにその下に火の旁のような字が見える所から「四十四の秋」と判読したことからの推定。

4,本居宣長四十四歳自画自賛像下絵   1幅
紙本白描。
【伝来】松坂本居家から高尾家、その後戦災消失。
【参考】写真は『本居宣長翁書簡集』等に載る。


>>「44歳像の制作」
>>「賛の文字」
>>「唐紙ってなに?」



(C) 本居宣長記念館


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