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宣長の頃の本は、整版本、木版本と言い、板木に裏字で凸に彫ります。今の版画と仕組みは同じです。
まず原稿を書きます。
次に「版(板)下書」(ハンシタガキ)を書きます。これは、版木(板木とも書きます)に彫るための清書で、薄い紙に書きます。本を出す人は宣長自筆の版下を希望しますが、多忙になると、息子の春庭や、また上手な人に頼みます。ここでも字の誤りがあると本にまで影響しますので慎重に進めます。
「版下書」が出来たら板木職人に送ります。
「版木職人」といえば宣長の場合は植松有信が有名ですが、貰った版下書を桜の一枚板に裏を向けて貼ります。ここで字が逆になるのです。そして書かれた文字がよく見えるように紙を水をつけてこすります。和紙はこの点が便利で、文字の墨を残してきれいに除去できます。
逆さまの墨の字だけが板木に残ったら、いよいよ彫刻です。
まず粗彫りをして、そしてだんだん細かいところを彫ります。
イラストの有信は小槌を振り上げて、ずいぶん乱暴な仕草ですが、これは粗彫りか、または前面彫り直しを命じられて怒っているのかな。
版下書はこうやって消えて、代わりに版木が登場します。
版木が出来たら刷り師が刷ります。
まず校正刷り。それを宣長が見て校正します。
校正を板木職人が直します。文字の訂正などは「埋め木」で直します間違い箇所を削って新しい木埋めるのです。
再校、三校と行われてようやく完成です。
刷りは、最初は薄墨で5部位刷ります。これを一番刷と言います。再版で版木を彫り直すときに使ったりします。版下なら濃くした方がいいと思われるかも知れませんが、文字の細部まで再現するには薄い方がいいのです。それにまだ版木の状態がいいのでこの初刷を使用します。
刷った物を、今度は表紙屋が表紙をつけて製本します。
これで完成です。
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