midashi_b 本を返すときの注意

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 宣長さんは、本を返してきた横井千秋の書簡に「返却」とあるのを見とがめて、注意しています。本を返すときの手紙で「返却」ということばを使うのは、貸し手であって、借り手が使うことは失礼だ。この場合は「返上」とか「返呈」を使いましょうと諭す。
 横井は宣長の弟子とは言っても、尾張徳川家の重臣でもある。そんな人にもきちんと注意する。「千秋はよい師に恵まれたと言うべきであろう」とは、宣長研究第一人者・岩田隆氏の評だ。

【原文】
「尚々、乍序申上候、物ヲ借リ申候而、返し申候ヲ返却ト申候ハ、人ノ許より我方へ返し候を受取候とて御返却被下ト書申候事也、然ルを人ノ許ヘ返ストテ返却仕候ト書申候ハ失礼也、人ノ許ヘハ返上返呈ナト書ベキ也、返却は我方ヘ返したる時ニ云詞也、右ハ甚以失礼憚多奉存候ヘ共、御心得のため、不顧失礼申上候、多罪多罪」(横井千秋宛宣長書簡 寛政4年6月26日付)


>> 「本の貸し借りの勧め」
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