『字音仮字用格』

 安永4年(1775)の須賀直見と自序がある。翌5年1月刊行。刊行書肆、江戸須原屋茂兵衛、松坂田丸屋正蔵、柏屋兵助、京都菊屋七郎兵衛、正本屋九兵衛、銭屋利兵衛。初版からこんな江戸や京都の本屋と仲間で出したのか疑問。

 内容は、漢字音を仮名で書く場合の同音の書き分けを、古代の用法に則して正し、仮名遣いを定めたもの。
 まず、アヤワ3行の音の違いについて「喉音三行弁」「おを所属弁」で論じ、五十音図で「お」は「ア行」に、「を」は「ワ行」に所属することを明らかにした。
 次に「字音仮名総論」の項において中国の音韻書『韻鏡』と仮名遣いの関係を説き、イヰ、エヱ、オヲ、及びこれを含むもの、ウ、フと書かれて紛れやすいものについて項目を立てその下にその仮名で書く漢字を列挙し、『韻鏡』と古文献の用例によって説明を与え、漢音、呉音の別も指摘する。

 字音仮名遣いについては、それまでも研究があったが、本書はそれを本格的に取り上げ、その説明に『韻鏡』と万葉仮名を結びつけたのは本書が最初である。また、オヲの所属を改めたことは画期的なことであった。


> > 「田中道麿の訪問」
> > 「柏屋」



(C) 本居宣長記念館


目 次
もどる