宣長の「負けじ魂」に驚いた人がいる。
窪俊満、別名・南陀伽紫蘭(ナンダカシラン)は、江戸に住む浮世絵師で狂歌師。絵を楫取魚彦、北尾重政に学び、穏やかで清楚な美人画で知られる。寛政8年(1796)11月13日に鈴屋訪問。その時の短冊が残る。
「角もじの いせとしいへば かみ国の
ひとの心は まけず玉しひ 俊満」
【大意】
牛の角に似る文字「い」、いのつく国「伊勢の国」と言えば昔から「神風の伊勢の国」と言われて他の国に比べても一段上にあると思っていたが、なるほど住んでいる人(宣長)も言うことが気宇壮大じゃなあ。
きっと、日本は万国の冠たる国だ、という発言に江戸のバランス感覚のあると自負する俊満は驚いたのだろう。
「窪俊満短冊」
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(C) 本居宣長記念館
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