midashi_o.gif 明解・宣長先生

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 宣長を訪問する目的の一つに、疑問点の解決がある。

 伊豆の門人・竹村茂雄は、寛政10年2月23日、松坂を訪れて、折から来訪中の橋本稲彦と宣長のもとを訪ねた。そして何をしたか。分からないことを次々に質問したのだ。『宮はしらの日記』に次のように書かれる。

  「大人の御もとにまうでて、文などの心得がたきところどころ、かつがつとひさだむ」
(大意・先生の所に行き、本の中で分からない箇所のあちこちを少しずつ質問して解決していった)

 本を読んだり考えたりする中でわからないことがある。調べてもどうしても解決できないこと、そんな疑問に宣長は打てば響くように明解に答えてくれた。

【証言1】江戸の安田躬弦
 「ならのはの古言に、心えぬ所々思ひ出てとふに、いとよくわきまへてこたふるが、露とゞこほりなければ」
 「ならのはの古言」つまり『万葉集』等の言葉で疑問点があったので、思い出すままに質問したところ、大変明解に答えて少しもよどみがなかった。

【証言2】浜田藩主松平康定
 「はじめてたいめするに、年比いかゞと思ひし本意も叶ひぬれば、何くれの事はいひさして古き典はさらなり、中昔のことばのさとりがたきふしぶしや何やを思ひ出るまゝに問きけば、いさゝかとゞこほることなく、よしあしのけぢめあきらかにこたへす」『伊勢麻宇手能日記』
  初めて対面したが、前から会いたいと思っていただけに、挨拶もそこそこに、古典のことや平安時代の言葉など、何でもかんでも質問するが、少しも言葉に詰まることなく、正しいこと、間違っていることの区別も明解に説明してくれた。 

 まさに、何でも知っている宣長先生、である。


>>「安田躬弦の訪問」



(C) 本居宣長記念館


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