midashi_v.gif 『詞の小車』(コトハ ゛ノオグルマ)

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 柴田常昭著。30巻10冊。『活用言の冊子』に基づき、活語の構成を「首(コウベ)」(語幹)、「足掻(アガキ)」(車語のはたらき)、「車」(活用語尾)という術語で説明する。また、『活用言の冊子』各会の活用の統括がなされ、活用体系を明らかにしようとした。書名は、著者は「詞つかひ」案であったが、宣長からの「言葉の小車、題号ヲカクノ如ク被成候而ハイカヾ」(表紙書入)の指示もあり両者を混用する。但し、宣長説は本書を「車辞」の考察という領域でのものであり、常昭が意図した「活語論」という広範囲な領域を包含するものではない。著者による改訂案「詞つかひ真櫛抄」は師の好尚との折衷案であろうか。
 加筆した宣長が添えた寛政4年11月9日付書簡に、自分もこの問題を考えたいと思っていたが、暇が無く残念に思っていたことを言い、完成を期待する。また「千言万語其例格ノ違ハザルコト誠ニ皇国言霊ノ奇妙ナル所也」と嘆賞する。だが寛政六年の著者の死により未完のまま終わり、同じ津の門人芝原春房の加筆も為されるが、むしろ本書の継承は『詞の八衢』により為されたと言えよう。但し、本書と『活用言の冊子』、また『あゆひ抄』、『詞の八衢』等の関係はきわめて複雑であり、今後の課題である。稿本は国立国会図書館所蔵。

【参考文献】
「柴田常昭『詞つかひ』−その学説の主要点について−」尾崎知光・『国語学史の基礎的研究』(笠間書院)。
『常昭の語学研究 近世日本文法研究史・続』渡辺英二(和泉書院)。


>> 「柴田常昭」
>> 「本居春庭」
>> 「富士谷成章と宣長」



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