吉野への道は、飛鳥からの芋峠と、多武峰からの竜在峠が有名。宣長一行が越えたのは竜在峠である。峠の手前にもう一つ小さな峠。ここからは「国中」(奈良盆地)がよく見えた。そして竜在峠。峠を越える宣長の眼に飛び込んできたのは、憧れの吉野の花であった。 「あけくれ心にかゝりし花の白雲。かつがつみつけたる。いとうれし」 戦前まで、この峠には茶店があり、また近くに雲井茶屋があって餅や団子を売っていたという。