『鈴屋集』(スズノヤシュウ)

 9巻9冊。宣長の歌文集。巻7までは宣長の自選。
 収録歌は、短歌約2,500首、長歌約50首、旋頭歌5首、今様3篇、文詞66篇。
 書名案には、「著書目」の『鈴屋文集』、『鈴屋歌集』の各下に「玉かつま」と記され、『玉勝間』もあったことを窺わせる。 鈴木淳氏は、本書は自費出版であること、また作者生前中に「家集」としての組織と内容を備えたものとして出版された、恐らく初の試みと評価する。
 刊行は、「近調歌部」巻1、2、3が寛政10年(1798・宣長69歳)11月9日、「古風歌・長歌部」巻4、5は寛政11年12月、「文詞部」巻6、7は寛政12年閏4月。いずれも宣長の手許に届いた日である。鈴屋蔵板で、売弘所は最初は柏屋、後に江戸の須原屋茂兵衛、京都の銭屋利兵衛、松坂の柏屋となった。
 巻1の巻首に本居春庭の「はし書」(寛政10年2月)があり、詠まれたままとなっていた父の歌を、古風と近風に分け、また並び替え、さらに詞や長歌も集めたと書く。但し、草稿などからも宣長自身が編纂したと考えた方がよい。春庭編としたのは、宣長の後継者であることの表明を宣長自らが企図したのであろう。巻7の末尾にやはり春庭の「言の葉の花ちりばめて遠き世ににほふもうれしさくら木の板」という歌を載せる。
「補遺」巻8、9は、宣長没後に本居大平が刊行し、「後書」(享和3年8月付)を添える。

【参考文献】
「『鈴屋集』の初刊本について」尾崎知光(『愛知県立大学説林』第29号・昭和56年2月刊)
「鈴屋集の開板」鈴木淳(『國學院大學日本文化研究所紀要』57輯)。


>> 「京都の春庭」



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