midashi_b 宣長の書名

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 「玉」この言葉が入った書名は多い。『詞の玉緒』、『玉くしげ』、『秘本玉くしげ』、『玉あられ』、『万葉集玉の小琴』、『源氏物語玉の小櫛』、『玉勝間』。これらは皆美しいという美称だ。美しい緒、美しい櫛箱、美しい小琴、美しい小櫛、美しい籠。では「玉あられ」は?これは、空から降ってくる「霰」のように、人に当たり、痛くはないが、人に気づかせる。そのような「霰」の美称だ。「玉」が付く書名の場合、その後に宣長の真意が隠されていることになる。

 「後釈」この仲間には、『出雲国造神寿後釈』、『大祓詞後釈』がある。両方とも、師・賀茂真淵の『祝詞考』に注が載る。それを補正した内容なので「後釈」。師の説を「考云」として掲げ、その後に「後釈」として自説を述べる。真淵説と自説を並べたために、師弟の資質の違いがよく出ている。

 「櫛」『玉くしげ』、『秘本玉くしげ』、『源氏物語玉の小櫛』。宣長が好きだったという櫛に因むのだろうか。といっても「櫛笥」は箱が問題で櫛そのものを指すわけではない。小櫛は髪を梳くということに意味がある。

 「鈴屋」『鈴屋集』。もちろん書斎の名前、号に因む。

 「石上」『石上集』、『石上私淑言』。



(C) 本居宣長記念館


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