書物

 子どもの頃からの本好きが高じて、医者、学者への道を歩むことになった宣長だが、書物を読むことが仕事となっても、やはり読書は趣味でもあった。晩年の和歌『ふみよみ百首』には、本を読むのが楽しくて仕方ない宣長の気持ちがよく表れている。
 だが、宣長は愛書家ではない。読むことが主目的だ。借りて読めばいい。読んだら貸してやればよい。その愛読するのは、『源氏物語』や『新古今集』という正統な古典であり、自分の研究対象とピッタリ重なっていた。学問が自発的なものであったことはこの点からも窺える。

 だが、それ以外にも実にさまざまな本を読んでいたようだ。特に、『宇治拾遺物語』、『今昔物語』、『古事談』などの中世の説話集や、『吾妻鏡』などの記録類、また漢籍や同時代の雑書まで幅広く読んでいた。伊勢神宮の御師・荒木田尚賢はあちこちから珍しい本を持ってきてくれる。公家の日記や漂流記などさまざまだ。持ってきてくれた本は取りあえず何でも読んだらしい。『本居宣長全集』13巻に載る『本居宣長随筆』は、稀代の読書人・宣長の読書ノートである。


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(C) 本居宣長記念館


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