谷川士清先生略年譜 (57歳〜61歳)

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記号:○士清関係記事 ☆関係記事 ★不慮

  1765 年 明和2年 ◇ 57歳

○ 8月4日、宣長(36歳)「与谷川淡斎」を書く。

※書簡20。「僕嘗て京師に在りて、先生の高名を聞くや、ひそかに郷慕すること多年なり」と書き出すが、内容は垂加神道への批判、特に陰陽乾坤五行説は唐国人の考えでこれを脱却しないとわが国の神道は見えてこない。歌道の衰退を嘆き歌学者の古典を学ぶ必要を説くなど、士清への挑戦状。

○ 11月20日、神田属通該、神道伝授の誓文を出す。

○ 11月、『大神宮儀式帳』書写。

※荒木田経雅再転写(安永元年壬辰十二月謄写)。3-267

○ 12月20日、孫立斎士行生誕。

 

1766 年 明和3年 ◇58歳

○ 4月18日、『日本書紀通證』を厳島神社に奉納。

※「一、谷川先生奉納日本書紀通證全部自今同志之輩拝読預許容多賀、明和三丙戌年四月十八日、厳島藤原安広(印)柄崎八百道殿」・「藤原安広筆谷川唐崎両家祝歌」4-No.18

☆ 9月、宣長(37歳)、真淵に呈した『万葉集重載歌及巻の次第』で叱責される。

○ 10月、『勾玉考』・「石剣頭考」起稿。 


1767 年 明和4年 ◇59歳

☆ 5月9日、宣長(38歳)『古事記伝』巻2(版本巻3)草稿本脱稿。
  この年、『上代系図』、『古事記雑考』書き終えるか。

★ 12月5日、竹内式部、遠島の途中死去。


1768 年 明和5年 ◇ 60歳

○ 4月12日、建部綾足、士清を訪ねる。

※「ひと日淡斎のぬしをとひて、ひねもす語る。こは大和の古言にくはしくおはせる人なり。是彼いひちぎらひてわかる」(『卯の花日記』)

☆ 4月、宣長(39歳)『古事記上巻真淵訓』(『仮字古事記』)書写。

☆ 6月、宣長、真淵の『万葉集問目』再問、既に終わる。

○ 7月上旬、蓬莱尚賢、士清等の勧めで田中大観『喉音仮名三異弁』、
        同書への反論書、文雄『喉音三異弁弁正』書写。

※反切や開合などの『韻鏡』解釈に付会して仮名遣いを論じる事への批判。奥書「洞津谷川翁寄書謂尚賢曰、此為好書也、遠州岡崎府小笹道沖致之余許云、尚賢教謄写之以為它日之講究者、時明和戊子秋七月上瀚、洞尚賢履卿記」(東京大学本居文庫所蔵)


  1769 年 明和6年 ◇ 61歳

○ この頃、藩主藤堂高朗(タカホラ)に随伴し長谷山に遊ぶ。

※この年高朗隠居。

☆ 2月9日、高朗四男高悠、八代藩主となる。

○ 3月18日、門人大河内重平、神道伝授の誓文を出す。

☆ 5月6日、賀茂真淵、宣長(40歳)宛書簡で祝詞宣命への着眼を誉める。

○ 7月4日、真淵、蓬莱尚賢に建部綾足とは交わるなと警告。

☆この頃、真淵、宣長宛書簡で、『日本書紀通證』の評をする。

※「其国、津の谷川士清が物せし日本紀通證、先年より、其門人にも有之、転々一覧候へ共、其非の談を聞度よし転説いたし、又彼がむこ内宮の蓬莱雅楽下向候節も、伝語にて、蓬莱も野亭を訪、其以後時々文通も致候。依之、此度日本紀にかゝり可申、その通證を見候所、神代上下は、垂加が門人のよしにて、元来宋学の余流を以て論ぜる也。谷川此旧謬を不離、皆附会也。空談也。神武紀以下には、事実文字の出所地名等は、よく考しものと見えて、用有こと多く、其外、語釈或は古歌を引に、夫木様のものまで引しは、天下代々の様を不知と見えたり。古事の證となるものは古今集までにて、其以下は、たまたま平言俗まで撰みとる事ながら、もはや今京以来は、古を失ひ候事多きに、まして、天暦以下の歌を引しは、甚世々の次第に不委事也。語釈は、いとゞ違も多し、たとへば、とゞろくを迹驚也とて、何か證を出せしなれど、か様の事は、とゞろとゞろとひゞく音をいふにて、理有事にあらず。鳥の声獣などもて、其鳥獣の名とするに候。理をいはんや。甚泥めり。からの事は広く見し人と見えて、文字の出所はよし。然れども、元来日本紀は、古事記の如き古文の多きを以て、強て漢文に書し故に、其字の出所にしたがへば、我朝の言と事実に違ふ事多し。故に、たまたまは其出所を以て、意を明らむる事もあれど、害もはた多し。敢て出所は用なきに似たり。地理は甚所用の事もあれども、天下の地理を明らむる事かたし。仍て暫よるべき事も多し。一覧にて用も多、害も多し。よく具眼の後見は、可然もの也。いかなる所存にや、右の外にも、門人を問せなどせし事多けれど、元来本意の違あれば、むつかしくてのがれをりぬ。皇朝の古は、たゞ老子の意などは似たる事あり。周以後の作り道は、惣て不叶、又、語意につけていへる事多かれど、其書いまだ考定せねば不遣候」(宣長全集別巻13-来簡94)

★ 10月30日、賀茂真淵没(74歳)。松坂本居宣長宅には12月4日連絡来る。

★ 11月、音弥没。享年11歳。



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