henyohenyo  
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14 好きな物、嫌いな物 其の参
 


本箱窓床の間の掛軸柱掛鈴(床の間の)文台たばこ盆押入の中本居宣長豆腐屋店先




 どうやら宣長は「豆腐」が好きだったらしい。
 豆腐を誉めた宣長の文章がある。
「豆腐は値が安くて、さりとて俗っぽい食べ物ではない。味は淡くて品がある。毎日毎日、いろいろと趣向を凝らした食べ方で、高貴なお方も庶民も、朝に夕においしいおいしいと食べるそんな食べ物である」
 普段の食事は簡素でいいよ、と言った宣長の趣向に豆腐はぴったりだった。
 豆腐屋の朝は早い。仕事はつらい。宣長の門人須賀直見は体が弱く、ついに豆腐や家業を断念した。その跡を継いだのは、やはり門人稲懸棟隆、その子茂穂である。
 やがて茂穂は、大平と名前を変えて、宣長の後継者となる。
  豆腐の好きな先生が豆腐屋の子を養子にする。ウソのような本当の話である。


 

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