『玉勝間』を読もう (2/8)
らんら ん
和歌子和歌子
 

 2,耳学問


和歌子

 宣長は清濁にうるさかった。
 でも書かれたものにきちんと濁点が付いているかというとそうでもないの。
 私たちは宣長の文章を音読することが多いけど、清濁は悩みの種ね。
 ところで耳学問だけど、聞いた話も『玉勝間』の貴重な材料となっているのよ。
ら ん 珍しい話もきっとあるでしょうね。
和歌子  諸国の奇談にはあまり関心ないみたいだけど、
「私は前から特に気を付けて、遠くからやって来る人がいたら、
その人の国の言葉を質問したり、またその人の話も注意して聞いている」
(巻7「ゐなかにいにしへの雅語のゝこれること」上301)
と書いています。
 展示では、宣長を驚かせた古代から連綿と続く神事の話を取り上げました。
ら ん 『古事記伝』の著者 宣長にしたらぜったい聞き逃せないわね。
和歌子  京都滞在中の宣長の下に、出雲国神魂神社宮司・秋上大祐得国(あきあげだいじょうありくに)親子が訪ねてきたの。
 神魂(かもし)神社は、出雲大社の宮司が代替わりの時にはここを訪れて新しい宮司となって帰るという、出雲国の中でも特別な神社だけど、知ってる?
ら ん 国宝指定の社殿の写真は見たことがあります。
和歌子  出雲の神社は大社造りでよく似た構造ですが、
この神社は一番古いので国宝に指定されています。

 同社に古代から続く「神火相続」のこと、
また今も毎年11月の新嘗祭で、大社に火きり臼と火きり杵を献ずることなどは、『古事記伝』とも関係する重要な伝承で、その時のメモはさっそく『古事記』に貼り付けられ、
『本居宣長随筆』に話の主たる内容を記し、さらに『古事記伝』へ加筆する草稿も作成しました。

 そしてより多くの人に知ってもらうために『玉勝間』にも一項目を設けたの。(巻13「出雲国意宇郡神魂神社」下155)。
ら ん 『記伝』と『玉勝間』、同じ話の使い回しですか。
和歌子 情報源は同じだけど、視点が違うので同じ話ではありません。
ら ん 全部で何冊あるのですか?
和歌子  版本は、本文14冊と目録1冊で15冊、1005の話が載っています。
ら ん 読むのが大変そう。でもメモでもあるんですよね。
和歌子

 拾い読みには最適だと思うわ。