| 1、縦軸と横軸で位置付けを決める |
まず、縦軸、時間の流れの中での整理です。
みなさんも、年表と地図を用意しましょう。
宣長は子どもの頃から系図とか年表が好きで、自分で作ったり写したりしていました。
たとえば「神器伝授図」は、中国4000年の皇帝の系譜です。
15歳の時に写しました。今なら中学生くらいですね。
長さが10メートルもあります。
宣長の時代は、学問と言えば中国から伝わったものが多かったので、
中国の歴史を頭に入れておくと儒教の勉強でも、文学や医術を学ぶときにも、
すぐに役に立つのです。
自分の家の系図も作っています。「本居氏系図」です。
これも冠婚葬祭の時に便利ですね。
それから、今は西暦があって、たとえば平城京が出来たのは710年、
『古事記』が出来たのは712年、だいたい1300年前だなと見当がつきます。
でも宣長の頃にはそんな便利なものはまだ伝わってきていなかった。
だから和銅3年とか元明天皇6年とかいう表示しかなかったのです。
すると何年前かわからないですよね。
天皇名を全部覚えていても、和銅や天平宝字なんて言う元号を覚えている人はいませんし、いても何年前かすぐに計算することはできません。
そこで宣長が作ったのが「年代記」。これなら一発でわかります。
いつも頭の中で、これはいつごろの話かなと考えて、順序正しく記憶していました。
たとえば『源氏物語』を読むとき、光源氏は何歳かな、ということを考え、
その結果もまとめて発表しました。これも宣長の業績の一つです(『源氏物語玉の小櫛』)。
次は、横軸、これは空間の中での把握です。
もっと簡単に言えば、地図上での確認です。
まず地図を作ります。
今回の展示の目玉「大日本天下四海画図」。
これは宣長が17歳の時に作った地図です。
横が2メートル、縦が1.2メートル。3000以上の地名が書かれています。
>>「大日本天下四海画図」
この他にもたくさん地図を写したり、また和歌山(「紀見のめぐみ」)とか、
水無瀬川(「寛政五年上京日記」)周辺など、興味あるところでは自分で略地図を書いたりしています。
珍しいのは和歌山城で講釈したときの図です。
70歳と71歳の時の2枚を展示しました(「和歌山城内講釈の図」他)。
一年間で殿様と宣長の距離がぐっと近づいているのがよくわかりますね。
宣長は高いところが好きです。友だちもちょっとあきれ顔(「送本居蕣菴帰勢序」)。
京都で一番お気に入りの場所は「清水寺」です。遠くまで見えますからね。
22歳の時には富士山にも登っています(「日記」)。
高いところは場所を把握する上で便利です。
富士山ではもう一つ発見がありました。「地」が「球」だということです。
つまり「地球」を実感できたのです(「解嘲論の弁」)。
いやいや大地は平だという伝統的な「須弥山(シュミセン)説」を図で表したものも展示しました。
神が住む世界の中心「須弥山」。その上が「有頂天」です。
宣長の書斎には世界地図もありました。
でも南半球は南極だけ。まだオーストラリアは描かれていません。
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