物まなびの系譜 宣長再発見 後期展   

4,「常盤雪行図」 ときわせっこうのず


宣長の賛は、
「しら雪の かゝるうき身の なげきにも こずゑ花さく 春をこそまて」

常盤(ときわ)は源義朝の妾。今若、乙若、牛若(源義経)の三人の子を産む。
平治の乱で一時は大和国龍門に隠れるが、
母を救うために六波羅に子どもと一緒に出頭する。
絵はその場面を描く。
美しさで清盛の寵愛を受けるが、やがてその愛情も冷めてゆく。
波瀾の生涯は『平家物語』など数々の物語に描かれた。

宣長がこの歌を詠んだのは、寛政3年(1791)、
『石上稿』の詞書には
「平治のみだれに源義朝の妻ときはが雪のふるに
三人のいときなき子共をゐてさすらひゆくかたかきたる絵に
人の歌こひければ」
とある。
歌の評判もよく、子どもを連れた絶世の美人が
雪の中で難渋するというこの「常盤雪行図」は、
宣長の画賛では最も注文の多い画題の一つとなった。
宣長没後も依頼があり、美濃が代筆をする。

 ◇ 守静筆。本居宣長賛。〔石水博物館蔵〕
   画家の伝記は不明。
 ◇ 月岡雪斎画、宣長賛。〔個人蔵〕
   雪斎は、肉筆美人画で有名な月岡雪鼎の長男。
 ◇ 中邨南山画。賛宣長詠・小津美濃代筆。〔本居宣長記念館蔵〕
   画家の伝記は不明。
   賛には、「文化三年春 本居氏 美濃書」とある。




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