寄贈資料の特色

1,完全な形での保存の実現
例えば、
宣長の作った『なぞなぞ』は2冊の内の1冊、
また法幢と有賀長川が添削した宣長詠草は過半が寄贈され、
その一部が本居家に留められていました。
また「前山の花見」は大平写本のみが寄贈され、
原本に当たる春庭筆宣長加筆本が過去の寄贈から漏れていました。
今回の寄贈により、より完全な形態での保存が実現されることになります。

2,百年に及ぶ冠婚葬祭記録
明和5年(1768・宣長39歳)の母の葬儀から、
嘉永3年(1850)宣長50回忌、
元治元年(1864)恵厚大姉(春庭妻壱岐)23回忌まで、
さらには明治34年の清造慶事書付まで、実に百年以上に及ぶ一つの家の冠婚葬祭記録が完備しました。
中でも、従来全く記録のなかった母勝、春庭の葬儀記録は重要です。
これらは本居家のみならず松阪の庶民資料としても貴重です。

3,宣長研究への寄与
冠婚葬祭記録に宣長自筆が含まれるのみならず、
宣長の葬儀の記録も新たに発見されました。
『遺言書』等の記録との対比により、
葬儀の実際だけでなく門人や交友の実際を知ることができます。
また、息子春庭の為にされた講釈の春庭のノートも発見されました。

4,茶道関係資料の充実
本居家4代当主信郷は茶人としても著名です。
表千家堀内家からの書簡300通からは、家元での行事や、明治初期の松阪での茶道の動向を窺うことが出来ます。
大名家の庇護を得られなくなり各流派の家元が自活の道を歩み出す、
茶道激変期の資料として貴重です。
松阪の各家に宛てられた裏千家家元書簡もすでに紹介されており、
対比することで当地の茶道史が明らかになることが期待されます。

5,『松坂風俗記』の発見
文化10年(1813)頃から全国規模で行われた風俗(民間の年中行事)調査記録である『松坂風俗記』が今回新たに発見されました。
正月から大晦日に至る松坂の各家の行事、こどもの遊び、祭礼などが
詳しく記されています。
『松阪市史』編纂時にも所在が確認出来ず、抜粋のみが掲載されていました。
今回の発見で200年前の町の様子がよくわかるようになります。
著者は服部中庸。調査のとりまとめをした本居大平からの指示も記されます。

2005.9.6