『廻文歌集 愚年輪』(解説付)が刊行されました


 可笑舎鹿尾(をかしやしかを)さんの『廻(回)文歌集 愚年輪』
が、細見克治さんのていねいな解説を付けて、ご子息・山田雅重さんの手で刊行されました。

 可笑舎鹿尾さんって誰?
 右から読んでも左から読んでも をかしやしかを さんは、
本居宣長記念館初代館長で、『本居宣長翁全伝』著者でもある山田勘蔵先生です。

 先生は62歳から80歳までの18年余にわたって、上から読んでも下から読んでも同じ歌という「廻(回)文歌」を作り続けられました。
 その数は、1500首とも、1600首とも言われています。
 その内、300首余を選び、生前『廻(回)文歌集 愚年輪』として昭和53年8月に刊行されました。
 でも少部数印刷で、しかも注がないので、もらった人もよく分からずに、そのまま忘却の淵に沈んでいったようです。

 今度、120首が精選され、注が付きました。
 よめば、その凄さがすぐに分かります。
 また、編年体の本書が、宣長顕彰史の貴重な証言であることも、容易に理解していただけるでしょう。

 一つ例を、
昭和44年
   近頃毎日鈴屋遺跡保存会に勤めて

 結び紐 清し さやけし 鈴も音も 涼しげ やさし 佳きも 日々住む

解説には、ひらがな(これで回文歌がよくわかります)で書いたあとに、訳と鈴のことが書かれ、末尾の「住む」は「澄む」にも掛けている、 とあるので、なるほどと了解できますね。
 鈴屋遺蹟保存会の年譜には、昭和45年11月に館長就任記事があるだけですが、
実はそれ以前から保存会で仕事をしておられたことがこの歌からわかります。

 またその前年、『本居宣長小伝』執筆中の作。

 世をへだつ 清く香る名 鈴の屋の 鈴鳴るを書く 良き伝へをよ

歌としても佳い作ですね。
 また、私は、このような言葉への熱情が、
宣長・春庭を知るためには欠かすことが出来ないことを再認識しました。

 ぜひご一読をお勧めします。


2006.9.4