梅雨空の下の来館者



 梅雨の時期は来館者も少なく、館内もひっそり静まりかえっていますが、
今年は多士済々、熱心な見学者をお迎えすることができました。


「歌が宣長の学問の出発点でした」


6月15日
には、歌手の橋幸夫様ご夫妻が、
医療法人徳真会グループ松村博史理事長のご案内で来館いただきました。
ちょうど館にいた鈴屋遺跡保存会理事長で松阪市長の山中光茂と館長が、
少しご挨拶をと、ご夫妻にお目に掛かって、仰天しました。
ご夫妻がとても熱心だったからです。
結局、全部の展示品一つ一つをていねいにごらんになり、
全ての解説を聞き、
また旧宅では、
「大日本天下四海画図」を描いた17歳の宣長の心に、
17歳でデビューした頃の自分の心を静かに重ね合わせておられたのがとても印象的でした。


ロビーの橋ご夫妻



「見ることに始まって見ることに終わる」


6月18日
には学芸員実習生が来館してくれました。
この頃の学生は、関心があるのか無いのかわからないなあ、と言う印象で見ていましたが、
この日の学生諸氏はみなとても熱心でした。
きっと、一緒に来館された先生の熱心さが、伝わったのでしょう。
先生次第ということかもしれませんね。

学芸員は「見ること」が仕事。
「もっとていねいに見なさい」
「見巧者」になりなさいなど、説明しましたが、
みんな目の前の資料に夢中で、果たして聴いていたかしら。
またたく間に時間が過ぎ、さらに時間延長して、お昼がすっかり遅くなってしまいました。
食べ物も松坂の誇る文化です、と皆さんを見送りました。

この日の見学風景が、来館いただいた先生のブログ
>>「yaaさんの宮都研究」「本居宣長記念館での学芸員実習の条」
に載っています。
とても興味深い説も提示されています。
ぜひご覧下さい。




「宣長は耳の人です、古代の人の声を聴こうとしたのです」



6月19日
には、視覚障害者の方が来館してくださいました。
一人は、埼玉県からお越し頂いたそうです。
鈴の音色を聴いていただき、
春庭の鍼や板木にそっと触れていただきました。
目を閉じて見ることの大切さを改めて思いました。




「今日は父の日ですね」


6月19日夕方、山中光茂松阪市長のご案内で、
長崎県議会議員の山田ともこさまが来館いただきました。
燻蒸作業の準備で、空調も止まった館内、
松坂木綿の着物をお召しになって、
さぞお暑かったのではないかとおもいましたが、
展示準備のために出していた「長崎の図」や
出島のオランダ人に教えてもらった「アルファベット図」
も見ていただきました。

説明者サイドから特に印象的だったのは、次の3つです。

 ○福島県、会津の桐で作られていますと言う説明を、
  大震災の復興支援に心を砕いておられる議員だけに、
  心をひそめて聞き入っておられました。

 ○自分の書いた『古事記伝』に残る脂(手あか)をじっとみつめる姿。
  書き終えてからも、何度も点検する宣長の仕事ぶり。
  説明しながら、なるほど、やはり目の付け所が違うと感心しました。

 ○はるばる肥後(熊本県)山鹿から来たのです。
  わたしも先頃山鹿に行って参りました、と山田さんはおっしゃいました。
  場所をご存じだと、感動も一入だったようです。

山田さんのブログに当日の報告が出ています。
>>http://www.yamadatomoko.com/news
ぜひ、ごらん下さい。
女性の方ならきっと、
私も山田さんみたいに、今度の休みの日には、
松坂木綿の着物で松阪を散策し、
本居宣長記念館に行こう、
という気分になること請け合いです。

それと、番外編ですが、
市長が、本居宣長を語るというのは、すばらしいことだと思われませんか。

説明を終えて、
子育て真っ最中という山田さんに、
宣長でうらやましいのは、
子どもたちがみんな父親を誇りに思っていたことです、
と付け加えると、
「今日は父の日ですね」、とおっしゃいました。

ご来館いただいた皆様に感謝申し上げます。

 

2011.6.25