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ら ん |
何を読んでいるのですか? |
和歌子 |
本居宣長の『玉勝間』です。岩波文庫でリクエスト再刊されたのよ。 |
ら ん |
面白い? |
和歌子 |
宣長の「目」、つまり視点がどこに向けられているのかがよくわかるわ。 |
ら ん |
どんなことに興味を持っていたかとか、そういう事かしら。 |
和歌子 |
栞って知ってるでしょ。 |
ら ん |
本に挟んだりする「しおり」ですよね。 |
和歌子 |
その本に挟む栞を見て宣長は考えた。
「しおり」と言う言葉はいったいいつごろから使われたのだろう。
たしか『古今和歌六帖』(980頃成立)に
「しをりしてゆかまし物をあひづ山」
という歌があったはずだ。
でもそれが最初だという確証はないな
(巻10「しをり」下19)。
こんな風に、この本にはふと思ったこと、思いついたことが書かれているの。 |
ら ん |
メモ帳? |
和歌子 |
この本にはその性格もあります。但し、私的ではなく公開用のメモだけど。 |
ら ん |
この『玉勝間』について基礎的なことを教えてください。 |
和歌子 |
まず書名。読み方は「タマガツマ」。
草稿本の内題、宣長自筆で「玉賀都万」。
巻1の歌も「言草のすゞろにたまる玉がつまつみてこゝろを野べのすさびに」とあります(上11)。
これまでタマカツマと読まれてきたので、
そこまで厳密に「ガ」と読まなくてもという意見もありますが、今は濁音で詠むことが多くなってきました。
本来、この言葉は、玉と言う美称と、かつま(密に編んだ篭)が結合して出来た語で、それが連濁で「たまがつま」となりました。 |
ら ん |
清音濁音については、たしか『古事記伝』の最初でも、『古事記』は厳密だと書かれていたようですが、大事なんですね。 |
和歌子 |
どうしてあなたが『古事記伝』を知っているの。 |
ら ん |
耳学問です。 |