『玉勝間』を読もう (1/8)
らんら ん
和歌子henyohenyo
 

 1,公開されたメモ帳 としての『玉勝間』


ら ん

何を読んでいるのですか?
和歌子  本居宣長の『玉勝間』です。岩波文庫でリクエスト再刊されたのよ。
ら ん 面白い?
和歌子  宣長の「目」、つまり視点がどこに向けられているのかがよくわかるわ。
ら ん どんなことに興味を持っていたかとか、そういう事かしら。
和歌子  栞って知ってるでしょ。
ら ん 本に挟んだりする「しおり」ですよね。
和歌子  その本に挟む栞を見て宣長は考えた。
「しおり」と言う言葉はいったいいつごろから使われたのだろう。
たしか『古今和歌六帖』(980頃成立)に
 「しをりしてゆかまし物をあひづ山」
という歌があったはずだ。
でもそれが最初だという確証はないな
(巻10「しをり」下19)。
 こんな風に、この本にはふと思ったこと、思いついたことが書かれているの。
ら ん メモ帳?
和歌子  この本にはその性格もあります。但し、私的ではなく公開用のメモだけど。
ら ん この『玉勝間』について基礎的なことを教えてください。
和歌子  まず書名。読み方は「タマガツマ」。
 草稿本の内題、宣長自筆で「玉賀都万」。
 巻1の歌も「言草のすゞろにたまる玉がつまつみてこゝろを野べのすさびに」とあります(上11)。

 これまでタマカツマと読まれてきたので、
そこまで厳密に「ガ」と読まなくてもという意見もありますが、今は濁音で詠むことが多くなってきました。
 本来、この言葉は、玉と言う美称と、かつま(密に編んだ篭)が結合して出来た語で、それが連濁で「たまがつま」となりました。
ら ん 清音濁音については、たしか『古事記伝』の最初でも、『古事記』は厳密だと書かれていたようですが、大事なんですね。
和歌子  どうしてあなたが『古事記伝』を知っているの。
ら ん 耳学問です。



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